MEGUMIさん : 小さいころから歌手になりたくて、バイトの貯金と母の援助をもとに高校一年生のときに渡米しました。当時ローリン・ヒルやMISIAが全盛期で憧れていたので、教会でゴスペルを習ったり、ドレッドにしたり、ブラックミュージックにすごく影響を受けていました。帰国後、歌手のオーディションをたくさん受けたのですが、TKブームだったので、自分が目指す世界観と違う時代で、全然受からずに落ちるばかり。当時すでに19歳だったので、芸能人になるのには遅い年齢で、正直焦っていました。そんな時に、知人の紹介で事務所「イエローキャブ」に所属することになり、いつか歌が出せたらいいな…と、私の芸能人生がスタート。社長に会った1週間後に、サイパンやタイに連れて行かれ、水着の写真を撮り、気が付いたらグラビアデビューし、バラエティ番組に出たり活動することに。年間にオフが3日だけというハードな幕開けでした。デビューから3~4年後CDデビューもして、歌手になりたい夢を果たせたのですが、びっくりするくらい売れなかったです(笑)。その結果、自分には向いていないのかもと納得はしました。バラエティやお芝居の世界もすごく楽しく感じて、気づいたら20年経っていましたね。
金 : すごいスタートですね。女優やタレント業のほかに、クリエイターとしてご活躍されていますが、その活動内容などを教えてください。
MEGUMIさん:「コラボレート」というプロジェクトをおこなっていて、ここ5~6年、ジャンル・キャリア問わずに、若いアーティストやクリエイターたちと一緒に作品を作り上げていこうと続けています。やっている理由は、若いアーティストが持っている強さやパッションって、なかなか触れられることがなく、とても新鮮で刺激を受けます。ある程度のプロフェッショナルや大人たちって、制限がある中でマックスを目指すから、それとは全然違う。これから成長していく若い子たちは、こちらが想像しないような自由な発想があり、そこに触れるとエネルギーがもらえる。彼らも自分の作品を世の中に発信する場所を得られ、活躍の場になる。ここからプロデュースという目線が生まれ、去年ショートフィルムを作り、スウェーデンで評価され、長編映画もプロデュースしたり、今年初めて連続ドラマの予定もあり、来年は映画を作る予定があります。気がつけば作品を常に作り続けていられる2~3年になっていて、自分のクリエイティブを発揮できる場所になっています。大きな夢ができたから、止まっていられず、日々ひたすらやっている感じですね。疲れ果てることもありますが、何もなく仕事がなく待つような状態のくすぶるような気持ちに比べたら、有り難いし、やれば形になるから、やっていなくて誰も見ていない苦しみとは異なる、爽やかな大変さだと感じています。
MEGUMIさん:最近『ガブリエル・シャネル展』で、財団の方たちからお話しをじっくり伺い、ガブリエル・シャネルさんに、強く感銘を受けました。孤児院で育ち、仕事においても新しいことに挑み、常に球を投げているのに、とても女性らしくエレガント。コルセットを着ている時代に、着心地のよいジャケットを提案したり、戦争のときに煌びやかなファインジュエリーを展開したり、もうガブリエル・シャネルの時代は終わったと言われていた晩年期にショーで返り咲いたり、時代背景に反して常にチャレンジしている。私にとってのお手本は男性経営者が多く、女性のアイコンがいままでいなかったので、点と点が繋がった感覚で、強さと女性らしさの両立のバランスの落としどころが見つかりました。エレガントで素敵な女性でいたいけど、常に球を投げるところに、インスピレーションをいただきましたね。私は死ぬまでチャレンジをしていたいし、女性としても豊かな含みを持った日々を過ごしていきたい。制限をかけているのは自分なので、自分で開放して幸せにやっていけばいいんだなって、結論が出た気がします。
金:本当に大切なことは、ひとと比べるチャレンジではなく、自分とのチャレンジ。自分と戦いながら挑戦していくことですよね。
MEGUMIさん:なんでこんなにチャレンジしたくなるのか、自分でも分からないんですけどね(笑)。お会いする方によって、何かのインスピレーションを得たり、気づいたり気づかされたり、新しく始まったり…。ひととひとの出会いによって、いつもすごいことになっています。金さんが影響を受けたひとはいらっしゃいますか?
金:18歳で来日して、休まず必死にアルバイトをしていました。当然遊びに行く時間なんてなかったのですが、ある日お客様から『時間は自分で作っていくものだから、遊べない理由にはならないよ』と教えていただいたことがあります。自分の中で“できないことは言い訳にしかならない”と気付かされ、“すべては自分次第”と衝撃を受けたことを、鮮明に覚えています。人生の数々のシーンで、自分を伸ばしてくれる気付きをくれるひとに恵まれ、影響を受け、自分を強くしてもらっていますね。
MEGUMIさん:プロデュース業ですね。芸能界はオファーがあった上で仕事が進んでいく世界だったから、ずっと辛かった。呼ばれなかったら、どんなに努力して備えても、稼働できないのはきつい。どうやったら打破できるか、道がわからなかったんですよね。だけど、今回コロナで自粛になったとき、自分発信で企画して、仲間たちに声をかけてリモートで集まり、初めてドラマを作り上げてインスタにアップしてみたんです。自分でやるのは怖かったけれど、あ!できるんだ!とわかり、プロデュース業をやっていけば自分で仕事を作り出していけて、永遠に循環できるんじゃないかと気付けたのが大きな機転です。コロナの中で何か変わらなきゃいけないと肌感としてあって、時代が音を立てて変わるから、いまのままの自分ではいけない、仕事の仕方を変えなければいけないと思ったんです。自宅でできることをたくさん模索した中で、プロデュース業を深いところに落とし込めたので、これを一生やっていこうと出会えた時間になり、結果よかったですね。ドラマ、映画、映像のプロデュースをして、ゼロから作り出す仕事は、かなり大変で困難や苦悩もありますが、クランクインしたときエモーショナルになり、何にも代えがたい思いが溢れ、達成感に満たされる。その瞬間のためにチャレンジしているのかも。
MEGUMIさん:余裕があるひと、ひとに優しいひと、気がつくひとを美しいなと思います。こういう自分もいますが、あなたはこうなんですね、あなたもそれでいいですよね、っていうのができるのって、自分を受け入れていることだと思うんです。日々戦って生きているので、強くなってしまうし、どうしても自分のことだけを考えてしまうし必死になってしまう。でもやっぱり美しいひとは、優しいしちゃんとまわりを見ている。そんなひとを目指したいなと思っています。
金:そうですね。精神的に自立していて、自分を受け入れていて、自己肯定感を高く持つことが一番の美しさだと思います。自分を受け入れると、いろいろとチャレンジできる。美しいひとは、見た目も含め、生き生きとしていますよね。
MEGUMIさん:すごく共感します。自分を知ること、自分を受け入れることが、結果美しくなることなのかな、と最近感じています。美容が大好きなのも、自分がキレイでいることで自己肯定感が上がって、メンタルが強くなり、ベストな状態でいられるから。朝晩はお香を焚いて瞑想し、日本茶を淹れるのが習慣。香りを生活の中に入れることで、余裕が生まれ、いい所作や余裕にも繋がると思っています。
金:自分らしくが一番いい。キレイの定義もひとによって違うから、それを作り上げるのは自分でしかできないですよね。5年後、10年後について、どんな自分になっていたいですか?
MEGUMIさん:5年後は、いま作っている作品が、海外に渡り受け入れてもらえるようになっていたいです。走り出したばかりの夢だけど、いま模索しながら動いていて、世界に到達したいと強く思っていますね。10年後は、女性の支援をしていたいと思っています。そういった活動はいまでもやっているんですけど、金沢のカフェで、アロマセラピストや眉のプロを呼んで女性の美に関するワークショップや寺子屋など手掛けています。開催すると涙する方もいらっしゃり、こんなにも美容は女性に訴えかけているものなのねと、驚くこともあります。プロデュース、女優、バラエティなど、いま現在の自分のすべての活動は“女性のみなさんへのアンセム”を掲げていて。もう少しこの活動を強くやっていけて、大きく支援や寄付など、広げていけたらいいなと。それが日本だけじゃなく海外にも渡り、きちんと喜んでいただける方たちに届く仕組みが構築できていけたらいいなと思っています。
金:すごく素敵な目標ですね。特に中国や韓国など、なにかお手伝いできることがあるかも!その活動は是非応援させていただきたいです。
MEGUMIさん:すごく頼もしいです!ありがとうございます。